しがない不動産会社を経営するしがない社長のブログ

不動産で独立するまでの事、これからの事をつづります

未経験で独立を考えている方へ

こんにちは。

しがない社長です。

 

「不動産業未経験ですが、独立できますか?」

よく質問を受けるこのテーマについてお話ししようと思います。

開業する際に宅建協会の説明会に参加した際に、主催者から「未経験の方はいらっしゃいますか?」と会場の参加者に質問があった際およそ3割くらい手が挙がったのを覚えています。

意外に未経験で独立を検討されている方も多いのだなと驚いた記憶があります。

この点に関して、私の考えをいうと、当たり前のことになってしまうかもしれませんが、

 

「独立自体は可能だが、業を続けていけるかは別問題」

 

と思っています。

基本的には未経験で独立してうまく営業を続けられる可能性は極めて低いと思っています。

以下、実体験も踏まえて掘り下げてみます。

 

まず、詳細は割愛しますが、不動産の開業には下記の要件が必要であり、逆にそれらが揃っていれば開業自体は可能です。

 

1.宅建士の免許

2.事務所の設置

3.宅建業の免許

4.保証金の納付ないしは宅建協会への加入

 

(開業に関する細かい手続き的なところについては別記事にてお話する予定です。)

 

以上、細かく分ければそれぞれの項目に色々とありますが、基本的に「宅建士の免許をとって、事務所を借りて、業の申請をして、お金を納め」ればただちに開業が可能です。

このように、参入障壁自体は非常に低い業界です。

宅建の免許だけは試験に受からなければなりませんが、そんなに難易度の高い試験でもありません。試験さえ受かれば、後は決まった手続きを踏むだけで開業はできます。

不動産屋はコンビニより多いといわれるのも納得できます。

 

さて、開業が簡単なのはお分かりいただけたかと思います。

ただ、目的は開業ではないですね。開業はスタートラインです。

 

ここで、未経験で独立をご検討の方にお伺いします。

想像してみていただければと思いますが、

宅建士の免許はある、事務所も借りた、業の免許も取った、お金も納めた。

さぁ開業です。となって、開業初日、さっそくあなたは何をしますか?

もちろん、多額の資本がある場合は駅前の目ぬき通りに店舗を借りて、経験者を最初から雇って、バンバン広告を打ってとできると思いますが、今回はそういう状況ではないと想定します。

 

というより、、、何ができますか?

 

 

近所の不動産会社にご挨拶に行きますか?

事務所にいれば勝手にお客様がやってきますでしょうか?

身内に営業をかけますでしょうか?

 

おそらく、スタートラインで相当苦しむと思います。

前述のように不動産屋はコンビニより多いのが現状です。

町の不動産屋さんにはその町の名士や大家さんたちとの人脈がありますので、いち早く売却の物件情報や、空室の物件情報が入ってきます。その情報を何とかいち早く得ようと、大手・中小の若手の営業マンさんたちが入れ替わり立ち代わりあいさつに行っています。

そこへきて、急に近所で開業したのでよろしくお願いしますと言っても、たいていははいはいと空返事をいただいて、そのままたいして収穫のないまますごすごと帰っていくことになると思います。

また、駅前に店舗を構える賃貸や売買の店は完全に競合他社になってしまうので、基本的に取り合ってくれません。事務の方に名刺をお渡ししても、たいてい自分が店を出た瞬間そのままゴミ箱行きになっているのがほとんどです。

 

私は売買を専業としてやっているので、売買についてお話しするとすれば、

売買に限っては、ほぼ独自の集客ノウハウや、さまざまな物件情報が自然と入ってくるような状況にないのであれば、独立するのは危険です。

基本的には一人か少人数での営業を念頭にすると、絶対的に一度はどこかの不動産会社に勤めるべきです。

 

賃貸も売買も、契約書の作成一つとっても、経験があるのと、ないのとでは雲泥の差になります。

不動産は専門性の高い職種ですし、実際に宅建の知識は「法令」のあたりはちらほらワードとしては出てきますが、実務にはあんまり使えるものはありません。

宅建は試験のための試験といった側面が強いと思います。

 

万一、身内にでもまた、紹介された方に居住用の売買物件をご紹介し、案内に行くことになったとしても、案内の途中であれこれ聞かれますよね。

そもそも未経験の段階で、物件をお探しのお客様を相手にして「この人に案内してもらおう」と思っていただけるような会話のやり取り、返答ができるようになるにはある程度の不動産の知識が必要になります。

物件は数千万円のものを取り扱うことが多いので、あまり詳しくない方やいくら社長といえども素人と思しき方に物件探しや仲介を頼んでくれる変わった人はいません。

不動産は信頼関係で仕事をすることが多いです。

「この人が言ってるから大丈夫」「この人なら任せられる」といった信頼関係を築くことが非常に大切になってきます。

その信頼関係を築くのには人柄や態度、所作などいろいろな評価項目はあると思いますが、何と言ってもやはり経験や知識をいかに伝えられるかといったところで信頼を勝ち取ることが多いと思います。

 

経験がないと、答えられません。

知識がないと、答えられません。

 

答えられないと、そこから商談が進むことはほぼないと言っても差し支えないと思います。

 

また未経験ですと、不動産業者同士の人脈も乏しいため、万一わからない案件があったときに気軽に相談できる相手がいません。

これは非常に大きなことだと思います。

私も社員も、不動産のことは今でこそそこそこ詳しいという自負がありますが、

まだまだ知らない事だらけです。お客様から質問されて、少し返答に困ることもあります。

その際にはたいてい、知り合いの業者友達にどう回答するのがベストか、あるいは何が正解かを聞きます。

こういった関係を持つのは不動産業を営むにあたって非常に大切なことです。

二つとして同じ取引はありません。その土地、その物件ごとに状況は必ず異なりますし、扱ったことのない案件が次々とやってきます。開業当初は特に案件がほしいので、選んでいられませんのでなんでも引き受けて、知り合いの業者友達に相談しながら案件を進めていった覚えがあります。

 

私は不動産業歴は短く、かなり早く独立した部類に入ると思います。

独立前も、独立後も、一人社長や10人以下の規模の不動産会社と取引することも多いですが、たいていお話を伺っていると、10年かそれ以上不動産営業を経験して独立される方が多い印象を受けています。

私も相当見切り発車な部分があったと思いますが、なぜ独立に踏み切れるようになったのかというと、やはり「仕入れ力」だと思います。

 

仕入れ」については別記事でまたお話しさせていただく予定ですが、

端的に言うと、黙っていても物件情報が入ってくるのです。

私が専門に扱っているのは投資用不動産ですが、特に投資用不動産の場合、一般に公開されていない未公開の物件というものが数多く存在します。

これらは往々にして相場より安く、貴重な物件であるため、一般人に目に触れる前に我々不動産業者が物件を押さえます。

 

原価・仕入れが安ければ、あとはどうとでもなります。

レインズ(業者間ポータルサイト)にのっけるもよし、民間のポータルサイトにのっけるもよし。

利幅をどうするかだけの問題ですので、利益が必ずとれる物件ということになります。

私は独立の鍵は、この仕入れ力だと思って、サラリーマン時代を過ごしていました。

このことは私にとって非常に大切なことだと思っていますので、別記事にてまたご説明します。

 

話が少しそれましたが、以上の理由から「開業は容易だが、営業を続けることは困難」だと思います。

 

未経験で独立を検討している方にメッセージを送るとするならば、

 

「とにかくどこでもいいから(できれば中小規模の)不動産会社の売買仲介部門に一度入ってください。そこで半年かけて営業から契約・決済までの流れを一通り学んでください。そして半年後からは取引先や業界内での人脈作りにいそしんでください。お勉強させていただきながら給料もらえるので最高じゃないですか!」

 

といった具合です。

 

不動産は報酬も高額なため、自分ひとり+αくらいで食っていく程度なら、数年一生懸命働いて、売買の流れを理解し、仕入れルートを複数確保すればそれなりに食べていけます。

 

簡単になりましたが、以上が私の考えです。

売買と賃貸がごっちゃになりましたが、売買か賃貸か、次の記事でご説明していこうと思います。

 

お付き合いいただきありがとうございました。